全ての始まりは「Memo-Spiel Colourcouple」というカードゲームからでした。
ヨルグ アダムとドミニク ハーボースの最初の共同作業は驚くべき成功を成し遂げた。ポットの雫を受けるための器やドアストッパー等日常生活においてなくてはならない製品に論理的且つ実践的に取り組む中で、いわゆる「サポートをサポートする」という発想にたどり着いたのです。
それ以降この理念が彼らの共同作業の主要なテーマとなり、それに基づいた展示会が、ドイツ国内外の著名な美術館にて開催されました。
1998年ベルリン市内に会社を興して以降、彼らはドイツ国内だけでなく、世界各国に存在するあらゆる分野の顧客の要望に沿った仕事をしてきました。
彼らが常に大切にしてきたもの、それは「ありふれた美」という考えです。
誰かが踏襲した道ではなく、あえて誰もやったことのないやり方を好みました。制作過程における諸々の問題とは、振り返ってみれば考えていた程複雑ではないということを実感したのです。
一時的なトレンドに流されるのではなく、彼らが注目しているもの。それはその物とそれを使う人との長きに渡る関係性に在ります。当然のことながら、その物は日常生活において実用的であること、それを使う人に近い存在であるということが前提です。彼はそのフォルムよりも、その物自体のコンセプトを重視しました。通常目にしないような絵画や考えもしないことを追求することで、日常にありふれた物に光を当て、至ってシンプルな名前をつけることにしたのです。サーカスのナイフ投げで有名なthrowziniから名をとったナイフ(包丁)立てや、その見た目にちなんで動物から命名したりとユニークな発想の下制作を続けていきました。
彼らは常に熱意を持って目標へと突き進み、スケッチから実際の視覚的コミュニケーションに至るおよそ全ての行程を自分達の手で行なっています。その根底にある好奇心と情熱は、その後の、2003年ミュンヘンのデザインラベルsiebensachsenを設立することとなり、そこで彼らの新プロジェクトをスタートすることになりました。
二人は制作する側、それを売る立場、そしてそれを使う側との密接な関係を重要視し、それら全てにおいて自分達の創作活動が大いに役立つであろうことを実感したのです。
Siebensachenは冒頭でも述べたように子ども、大人問わず楽しめるゲームを制作しており、2008年にはそれらがニューヨークタイムスに「マストなゲーム」としても取り上げられました。
特にkonstantin slawinski社のsl-アクセサリーコレクションは彼らの代表作とも言える作品でしょう。
こうした「S7コレクション(Sieben=7)」はいわば国際的創作都市であるベルリンの時代を超越したデザインと、ドイツ国内に散在する小さな町工場が大切にしてきた伝統の融合と言えます。
2017年以降アダムとハーボースは国内、海外の顧客に対しそれぞれ個々に活動する一方、その大半を共同作業であるsiebensachenレーベルに取り組んでいます。
ヨルグ アダム
1968年ドイツ、デュッセルドルフに生まれる
1990〜1996 ハンブルク及びベルリンの芸術大学にてヘルムート教授、ハインツ ヒルディナ博士の下工業デザインの学位を取得
1996〜1998 ベルリンのメディアポート社にて工業デザイナーとして勤務
1998 ドミニク ハーボースとベルリンにデザイン会社アダム+ハーボース設立(後、2017年廃業)
2003〜 デザインラベルsiebensachenの共同出資者となると共に国内外の顧客へのサービスを行う
ドミニク ハーボースとドイツ国内外の様々な芸術大学にて教鞭をとる
現在、家族と共にベルリン在住
ドミニク ハーボース
1968年フライブルグに生まれる
1990〜1996 ハンブルク及びベルリンの芸術大学にてヘルムート教授、ハインツ ヒルディナ博士の下工業デザインの学位を取得
1996〜1998 ベルリン及びハンブルクでフリーの工業デザイナーとして勤務
1998 ヨルグ アダムとベルリンにデザイン会社アダム+ハーボース設立(後、2017年廃業)
2003〜 デザインラベルsiebensachenの共同出資者となると共に国内外の顧客へのサービスを行う
ヨルグ アダムとドイツ国内外の様々な芸術大学にて教鞭をとる
加えて国内外の大学の客員教授として勤務
2008〜2014 イタリアの芸術大学にて教鞭をとる
現在、家族と共にベルリン在住