「サステナブルなファッショントレンドを作る」を目標に、2005年、Martin Klüssener(マーティン・クリューセナー)はFeuerwear(フォイヤーウェア)最初のバッグをデザインしました。Feuerwear製品の素材は、ドイツで実際に使用されている消防用ホースです。ドイツ各地で長年に渡り命を救ってきた後、廃棄されるものをFeuerwearが引き取り、洗浄、裁断して、ほぼ手作業で製品に仕上げています。ホースは製造メーカーによって素材などが変わる他、都市名やロットナンバーがプリントされていたり、経年や使用によっても色や表情が変わってきます。そこから生まれるFeuerwearの製品も一つ一つがオリジナルで、二つとして同じもはありません。
素材となるホースは耐熱性・耐水性に優れる他、耐用年数も長いものでは数十年と非常に堅牢です。これを日常生活で違和感なく機能する商品にするために、当時と変わらず創業者であるMartin Klüssenerが自らデザインと設計を行っています。プロトタイプは長い期間、実際に使用してテストされ、試用者の意見を元に更に改良が加えられます。こうして、丈夫で、使いやすく、質の高いFeuerwearの製品が完成するのです。
Feuerwearでは素材の選定、洗浄から裁断まではドイツ国内で、そして縫製はポーランドとセルビアにある家族経営の小さな工場で行われています。Feuerwearはこの二つのEU加盟国またはEU加盟希望国とフェアな条件で取引し、年に何度も現地を訪れることで協力関係を強固にしています。
古いものから新しい価値観を作り出す『Upcycling アップサイクル』という理念は、Feuerwearの根幹となっています。過去3年間だけを見ても、10万メーター、重さにして50トンもの廃棄物を製品として蘇らせています。2012年、TÜV Rheinland(テュフ・ラインラント。技術・品質・安全性などを検査認証する世界有数の検査専門企業)のレポートで、ホースを再利用するFeuerwearのアップサイクルは環境負担を減少させていることが証明されました。その他にも、環境保護プロジェクトに積極的に参加して自社のCO2排出量を差し引きゼロに保つ、再生可能エネルギーのみを使う、自然素材から作られた洗剤を使うなど、環境にいかなる負担をもかけまいとする企業努力は数え上げればきりがありません。
創業から10年、Feuerwearが18カ国、300以上のショップで販売されるまでになったのは、経済的、社会的、環境保護的など様々な観点から続けられてきた、たゆまぬ努力の結果なのです。